ふくしま市場公式アンバサダー企画 第一弾

挑戦を重ね、数々の賞を受賞!

『ねっか』の知られざる秘密を発見!

ふくしま市場公式アンバサダー企画第一弾となる今回の訪問先は、
福島県の西端・只見町にある「合同会社ねっか 奥会津蒸留所」。
地域に根差し、焼酎づくりを通じて未来を育むその現場を、
ふくしま市場公式アンバサダー・旅するソムリエ小山さんとともに訪ねました。

合同会社ねっか
代表社員 脇坂 斉弘さん
(わきざか よしひろ)
福島県郡山市で生まれ育ち、大学卒業後は建築の道に。結婚を機に南会津に移住し、酒蔵「花泉」で酒造りに携わる。2016年、只見の米農家仲間とともに酒蔵を立ち上げる。
ふくしま市場公式アンバサダー
旅するソムリエ 小山さん
東京都新宿区荒木町でワインバー・小山の酒場を経営。ソムリエ資格を持ち、食と酒の現場を旅して巡る旅するソムリエ。
自然と共に生きる町──
只見町(ただみまち)
福島県の西端、新潟県との県境に位置する只見町。総面積の約90%が森林という、自然に抱かれた町です。豊かな水資源と冷涼な気候に恵まれ、ブナ林を中心とした生態系がユネスコエコパークにも認定されています。
合同会社ねっか 奥会津蒸留所
〒968-0603 福島県南会津郡只見町梁取沖998
2016年創業。米つくりから100%自分たちで作っている蔵は、日本酒も含め全国的にほとんどなく、米農家だから出来るこだわりの米焼酎となっております。

<訪問スケジュール>
2025年7月12日(土)

  1. 11:30 ねっか奥会津蒸留所到着・見学・試飲
  2. 13:30 昼食~季の里 湯らり~
  3. 15:00 脇坂さんおすすめスポットへ
  4. 16:30 解散

只見町の大自然が出迎える旅路

新白河駅から車で揺られて約1時間半。当日の福島県中通り地域はあいにくの雨模様で、7月にも関わらず肌寒い空気に包まれていました。
しかし、南会津に抜けるトンネルを越えた瞬間──景色は一変。強い日差しと澄みきった青空が広がり、只見町の大自然が私たちを出迎えてくれました。

11:30「ねっか」蒸留所に到着・蒸留所内見学

地域の風土・歴史・未来と真摯に向き合いながら、独自の酒づくりを続ける「ねっか」。代表の脇坂さんご本人の案内で、蒸留所の内部とその背景にあるストーリーをたっぷりと伺いました。

▲会ったばかりとは思えないほど打ち解けた様子の小山さんと脇坂さん

米焼酎づくりで地域を守る──只見町「ねっか」の挑戦

農作業小屋から始まった、
只見の米焼酎づくり

「もともと農作業小屋だったんですよ。すごい煩雑なところで、自分たちでコンクリート打ったりしてね」

そんな言葉とともに案内されたのが、現在の焼酎蒸留所。地元の米農家と脇坂さんたちが、手づくりでスタートを切った現場です。

高齢化と過疎が進む只見町では、農閑期に仕事がないことから若者のUターンも難しいのが現状です。

「だからこそ通年雇用が必要。農業だけじゃ無理。でも酒蔵があれば、雇用も生まれる。只見の田園風景も守れる。米焼酎づくりは、只見の田園風景と暮らしを守る手段です」

地元のお米で、
地元のお酒をつくりたい──
特産品焼酎免許の取得

「日本酒の新規免許は、60年以上出てないんですよ。廃業した蔵の免許を酒蔵ごと購入する方法もあるのですが、相場で2億円以上。まあ……難しいよねって」

只見のお米でお酒をつくり、只見の田園風景を守りたい。そんな思いを持ちながらも、立ちはだかる現実的な壁。その中で脇坂さんたちが目をつけたのが「特産品焼酎免許」でした。

「とはいえ、これも条件は非常に厳しいんです。まず、すでに建物設備があることが前提。しかも、お酒は試作すらできない。無免許でつくれば密造酒扱い。つまり、造れるかどうかも、売れるかどうかも分からないまま、決断を迫られたんです」

脇坂さんたちは、農作業用の小屋を自らリノベーション。お酒の試作ができない中でも、日本各地の米焼酎を飲み比べながら、自分たちの目指す味を模索。高知や熊本にも足を運び、現地の蔵元と話を重ねながら、理想のかたちを探ります。

多くのハードルを乗り越え、2017年には特産品焼酎免許をわずか6か月という異例のスピードで取得。2020年には輸出用清酒免許も取得し、只見町から世界へとその歩みを進めています。

子どもたちの“20歳の自分”に贈る焼酎

ねっかの取り組みのひとつに、小学5年生の子どもたちが田植えや収穫を体験し、自分たちで育てたお米を使って焼酎づくりを学ぶ授業があります。学習発表会では親や大人たちに成果を伝える機会を設け、子どもたちが主体的に関わる貴重な場となっています。

この授業で仕込まれた焼酎は、9年後の20歳の成人式に手渡しされます。

「みんな進学で町を出ていくけれど、20歳の成人式はみんなで最初に戻ってくるタイミング。お酒を渡すことで、もう一度地域と関わるきっかけにしてほしいんです」

「只見に戻る」ことだけが地域との関わりではありません。イベントでふらりと立ち寄る、友達を連れて遊びに来る、小学生の時に学んだ「ねっか」のことを誰かに話す。そんな何気ない行動の一つひとつが、地域との立派なつながりになります。

「“これ、自分で育てたお米でできた焼酎なんだ”って言えるのって、すごくいいですよね。忘れられない記憶になるんです。これは日本酒ではできない。長期保存できる焼酎だからこそなんです」

こうした体験は、子どもたちから親世代へと受け継がれ、地域への意識にも静かに、確かな変化をもたらしています。

13:00試飲タイム!小山さんと脇坂さんの利き酒対談

蒸留所内見学終了後は、お待ちかね試飲タイム。

脇坂さんと小山さんによる“利き酒対談”がスタートしました。焼酎の香りや味わいの違いを語り合うやり取りは軽快で、まるでトークショーのような盛り上がりに。スタッフ一同も、思わず聞き入ってしまうほどの熱量とテンポ感に圧倒されました。

ねっか 米焼酎「ばがねっか」

日本酒の吟醸酒と同じように米を精米歩合60%まで削って仕込んだ贅沢な米焼酎「ばがねっか」。東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)では3年連続・通算4回目の金賞を受賞しています。米を削ることで通常のねっかよりさらに香り高い仕上がりになっているのが特徴です。

「ばがねっか」は3種類あり、壱型は五百万石と夢の香、弐型は五百万石を100%、参型は夢の香100%とそれぞれ仕込みを変えています。

今回、小山さんが試飲したのは五百万石100%仕込みの弐型。吟醸酒のようなフルーティーでふくよかな香りと、米の旨みがしっかり感じられつつも、後味はすっきり。ドライなキレが楽しめる逸品です。

小山さん「厚みが本当に強いですね。香りの表現もすごく多彩で……。お米の比率はどうやって決めているんですか?」

脇坂さん「実は1種類に絞るつもりだったんです。でも3種類作って500人にアンケートをとったところ、好みが見事に分かれまして。結局、全部商品化することにしました」

小山さん「なるほど……。これ、つくる側は大変でしょうけど、香りも味わいも表情がまったく違うので飲む側としてはすごく楽しいお酒ですね」

脇坂さん「炭酸を入れるとまた違った一面が出てきて、おすすめです」

小山さん「贅沢な飲み方ですね~」

酒米の持つ個性をそのままに、焼酎という新しい形で表現した「ばがねっか」。壱型・弐型・参型の3種類はそれぞれ使用する酒米の違いによって味わい・香りが異なり、数量限定・時期限定での販売となっています。ぜひ、あなたのお気に入りの「型」を見つけてみてください。

TWSC最高金賞・殿堂入り
「奥会津ねっか」

次に試飲をしたのは東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)2024で最高金賞を受賞し、殿堂入りという快挙を達成した「奥会津ねっか」。

小山さん「これは相当美味しいですね!美味しすぎて危険なお酒です(笑)」

一口でその実力を感じ取った小山さん、さらにこう続けます。

小山さん「香りがすごく鼻腔をくすぐります。余韻もとても長くて、うっとりするような味わいですね」

脇坂さん「ありがとうございます。通常のねっかをシェリー樽で3年以上熟成させて、吟醸香のある『ばがねっか』をブレンドしたんです。木樽由来のバニラの甘さと、吟醸香の華やかさが重なって、しっかりとした奥行きが生まれたと思います」

小山さん「ちなみに、これはどれくらいの本数を仕込んでいるんですか?」

脇坂さん「年間400本くらいですね」

小山さん「これは……買った方がいいです。絶対!優しいけど力強さも感じる味わい……ウイスキー好きな方には間違いなく刺さる一本ですね」

これまでの焼酎に、熟成・ブレンドという技術と挑戦を掛け合わせて生まれた「奥会津ねっか」。焼酎ファンだけでなく、ウイスキー愛好家にもおすすめできる逸品です。

13:30昼食は「季の郷 湯ら里」で只見の味覚を満喫

試飲で大いに盛り上がったあとは、脇坂さんおすすめのランチスポット「季の郷 湯ら里」へ。

脇坂さんと小山さんは米焼酎ハイボール・ねっかHIを片手に乾杯。

只見を代表する川魚・いわなの塩焼きに、郷土料理「お平(おひら)」、そして羊肉(マトン)を使ったしゃぶしゃぶなど、地元食材をふんだんに使った料理がずらり。

只見の風土と季節の恵みが一皿ごとに広がり、心もお腹も満たされる贅沢なランチタイムとなりました。

15:00ねっかラベルの原風景へ

昼食後は、脇坂さんの案内で「ねっか米焼酎」のラベルに描かれた田んぼへ。険しい山道を越えた先に広がるのは、見渡す限りの田園風景です。

小山さん「いやー、すごい……!」

車を降りてすぐ思わず声がこぼれるほどの絶景。

太陽の光をたっぷり浴びた棚田が、山あいの斜面に階段のように連なり、鮮やかな緑が一面に広がっていました。あたりには人工の明かりはなく、鳥のさえずりや虫の声、動物の気配まで聞こえてくるような静けさに包まれています。

小山さん「やっぱりクマとか出るんですか?」

脇坂さん「出ますよ。只見には田子倉ダムがあるんですけど、朝はクマが泳いでたりします」

小山さん「えー!?」

ある年は学生たちがこの田んぼの近くにテントを張って宿泊することもあったといいます。

脇坂さん「夜は星が本当に綺麗で。でも、やっぱり暗闇が怖かったみたいで(笑)でも、そういう体験こそが大事なんじゃないかな、って思うんです」

只見の自然は、美しさだけでなく、“人と自然がともに生きる”という深い学びも与えてくれます。そんな風景が、訪れた子どもたちはもちろん、私たちの心にも静かに根付いていきました。

16:30企画終了

蒸留所での見学と試飲、田んぼの原風景の訪問。只見の風土と「ねっか」の酒づくりにじっくりと触れた今回の企画も、いよいよ終わりの時間を迎えました。

最後は、ふくしま市場公式アンバサダー・小山さんに「ねっか」特製のお土産をお渡しし、脇坂さんと力強い握手。笑顔の中にも、お互いに感じ取った熱い想いが交錯する瞬間でした。

「『ねっか』って、只見の方言で“まったく・本当に”って意味なんですよ。でも、“根っこ”って意味もある。地域に根差して生きていく、っていう想いを込めました」

ねっかがつくるのは、ただの酒ではありません。只見の自然、人の手、そして未来への記憶までもが込められた一本です。

「只見の田園風景と子どもたちの未来を米焼酎を通して守っていく」

そう語る脇坂さんの言葉が、この地に根を張る酒づくりの本質を物語っていました。

公式アンバサダー小山さんより

今回「ふくしま市場公式アンバサダー企画」として、かねてから行きたいと思っていた只見町にいけること、さらにはソムリエとして以前から注目をしていた「米焼酎ねっか」について、代表の脇坂さんと直接お話ができると伺い、この企画への参加を決めました。

脇坂さんは日本酒づくりのノウハウをお持ちですが、あえて焼酎づくりに取り組まれているという、イノベイティブさがあります。「ねっか」が作るお酒は味わいも個性的で、それぞれの特徴がはっきりしており、他にはない魅力があります!

只見の原風景を守るという想いから始まった取り組みは、焼酎の蔵元とは異なるアプローチで、現代に合ったお酒のつくり方として非常に興味深いです!

只見の地を訪れることで、「ねっか」についてより深く知ることができ、とても貴重な体験となりました。ありがとうございました。只見の自然と人の想いが詰まったお酒を、ぜひみなさんも現地で体験してみてください。観光も充実しており、「ねっか」の魅力をより深く感じていただけると思います!

訪問を終えて

今回の「ねっか」訪問を通して、私たちは単なる酒づくりにとどまらない、只見町とともに歩む挑戦の物語に触れることができました。

手づくりの蒸留所から始まり、地域の米を活かした焼酎づくり、そして子どもたちの未来に向けた取り組みや、国内外への挑戦。そこには一貫して「地域に根を張る」という強い信念がありました。

この酒に込められた“根っこ”の想いが、只見の未来を静かに、力強く支えています。この土地の息吹と、人の手の温もりが醸す味わいを、ぜひ多くの人に知ってほしいと思います。

「ねっか」の米焼酎は、ふくしま市場でご購入いただけます。気になった方は、ぜひ下記リンクをチェックしてみてください。

\ふくしま市場で販売中/

奥会津ねっか
木樽熟成と吟醸香が織りなす、只見発・世界基準の米焼酎
ねっか2本セット
100%自分たちで育てた只見産米を使用した、香り高く、米のうまみが感じられる米焼酎
ねっか・只見線
ラベルセット
JGAP認証自社圃場で育てた只見産米を使用した、香り高く、米のうまみを感じられる米焼酎セット。
ばがねっか・ねっかセット
「ねっか」と米を精米歩合60%まで削って仕込んだ贅沢な米焼酎「ばがねっか」セット。